
なぜUltimate Trackerなのか
モーションキャプチャには、**正確な位置(Position)と回転(Rotation)**のデータが不可欠です。従来多く使われてきたセンサー方式は、大きく2種類に分けられます。
光学式モーションキャプチャ
複数のカメラでマーカーの座標を追跡

高精度ですが、設置が複雑でマーカーが見失われるとデータエラーが発生します。
IMU( 慣性センサー)ベースのモーションキャプチャ
慣性センサーで回転を計測

軽量で設置が簡単ですが、ドリフト現象や磁場干渉、位置推定の不正確さという限界があります。
こうした従来技術の課題を解決するために登場したのが、VIVE Ultimate Trackerです。

Ultimate Trackerの技術的特徴とメリット
Ultimate Tracker(UT)は、2つのカメラと3軸IMU(慣性センサー)を搭載した複合センサーです。光学ベースのSLAM技術で位置をトラッキングし、IMUで回転を計測します。これにより、位置と回転の両方を同時に計測し、推定ではなくセンサー自体のデータのみで高精度な計測が可能です。

従来の光学式システムのように、体にマーカーを装着し複数のカメラで撮影する煩雑なプロセスが不要です。設置やキャリブレーションにかかる時間が大幅に短縮され、機材の準備が簡素化されるためすぐに撮影環境を構築できます。

UTは外部カメラやマーカーなしで自律的に位置を認識するため、専用の撮影スペースやスタジオが必要ありません。狭い空間や屋外など多様な環境で柔軟に活用でき、設置の制約なく自由に動き回れます。

従来のシステムは演算によってセンサー性能の不足を補っていましたが、UTは位置と回転データをセンサー自体がリアルタイムで生成します。そのため、データ処理が高速で反応性に優れ、リアルタイムアニメーションや配信などレイテンシに敏感な用途でも安定したパフォーマンスを発揮します。

SLAMによる位置情報とIMUの回転情報を組み合わせることで、両技術の弱点を相互に補完。光学式の高精度さとIMUの即時反応性を兼ね備えた、精密かつ反応性の高いモーションデータを生成します。
*SLAM(スラム)**は「Simultaneous Localization and Mapping」の略で、
カメラやセンサーが移動しながら、自分の位置を把握しつつ周囲の地図を同時に作成する技術です。*IMUセンサーは「Inertial Measurement Unit(慣性計測装置)」の略で、
加速度センサー、ジャイロスコープ、地磁気センサーなどを組み合わせたものです。
これにより、速度・方向・傾き・回転など、デバイスの動きをリアルタイムで測定できます。
IMUは長時間使用するとドリフト現象が発生しますが、UTはSLAMで得た正確な位置データを活用し常に補正を行います。そのため、長時間の撮影でも位置や回転が安定し、データの信頼性を高く維持できます。

Ultimate Trackerの使用にVIVE Business Plus Proが必要な理由
Ultimate Trackerは基本的にBluetooth接続の場合、PC1台につき最大5台まで接続可能です。
しかし、Wi-Fiモードを有効にすることで最大22台まで拡張することができます。
そのため、より多くのトラッカーを使用する場合には、VIVE Business Plus Proのライセンスが必要です。
構成
Ultimate Trackerを6台以上使用する場合
Ultimate TrackerのWi-Fiモードへの切替
HMDによる環境マップの共有
必要項目
Business Plus Proライセンス
Ultimate Trackerの台数分のライセンス
最新のHMD + BWSライセンス
すべてのライセンスは1年または3年単位で購入可能で、オンライン申請後、コード提供の形式でアクティベートされます。

VIVE Business Plusライセンスが不要な場合
Ultimate TrackerとHMDを組み合わせて使用する場合、ライセンスなしでBluetoothモードにてご利用いただけます。
BluetoothモードでMoAを使用する場合、PC1台につきUltimate Trackerは最大5台まで接続可能なため、XREliteやFocus VisionなどのHMDを併用する必要があります。この場合、HMDを追加してトラッキングに活用できます。
Wearing Instructions
Ultimate TrackerとHMDを 前向きに装着

MoAを活用したVRコンテンツに使用可能
Ultimate TrackerとHMDを後ろ向きに装着

視界を遮らず、狭い空間でもトラッキングが容易(推奨)
Ultimate Tracker・HMDに加えてコントローラーを装着

Ultimate Trackerは3台のみで使用可能、VR環境での操作が簡単

MoAソフトウェアの特徴
MoAはプロフェッショナル向けでありながら、誰でも簡単に使えるモーションキャプチャソフトウェアです。
従来のVIVE Tracker対応ソフトウェアは品質や使い勝手に課題がありましたが、MoAは以下のような強みを持っています。

直感的なインターフェース
複雑な機材や専門知識がなくても、個人クリエイターでも手軽に使える直感的なインターフェースを採用。誰でも簡単にコンテンツ制作が可能です。

人体モデルに基づいたアクター構成
実際の人体の動きを精密に反映し、自然でリアルなモーションを実現します。

ワンクリックキャリブレーション
複雑な設定は不要で、誰でもワンクリックで初期設定が完了します。技術的な知識がなくてもすぐに使用開始でき、非常に手軽です。

マルチプラットフォーム対応
Unity、Unreal、Warudoではプラグインを通じたライブストリーミングが可能です。
また、Maya、3DsMax、BlenderではBVH/FBXファイル形式での後処理にも対応しています。

バージョン別比較
バージョン
MoA AVATAR
MoA ARENA
MoA ARENA
対象
一人クリエイター
モーションキャプチャおよびアニメーター
多数のキャラクターが必要な大規模プロジェクト
対応人数
1名
最大2名
最大10名
センサー数
6個
最大11個
最大11個
センサーの数が多いほど精度が向上し、ARENAはコラボレーション環境に最適です。

専用ストラップのメリット
MoAは、6個から最大11個のセンサーを人体に装着するモーションキャプチャシステムであり、センサーを正確な位置にしっかり固定することがデータの品質において非常に重要です。
そのため、専用の装着機器であるMoA Body Strapを開発しました。
MoAストラップは人体の各部位に最適化されており、以下のような特長があります。


安定した装着感
広いパッド付きのウエストストラップは、衣服による干渉を最小限に抑え、より精密なトラッキングを可能にします。

カスタマイズストラップ
動きの多い手足専用に設計されたストラップで、よりブレのない安定した装着が実現できます。

高い耐久性
弾力性のあるネオプレン素材を使用し、さまざまな体型にフィットします。シワや変形が起こりにくく、しっかり固定されながらも簡単に取り外せるため、軽量で扱いやすい仕様です。

簡単なお手入れ
ネオプレン素材は中性洗剤を使い、ぬるま湯で手洗いしてください。直射日光を避け、陰干しすることで長く形状や機能を保つことができます。
VIVE Ultimate Trackerおよびハードウェア購入ガイド
VIVE製品は、世界各国の公式リセラーを通じてご購入いただけます。
当社ではMoAソフトウェアのライセンスおよび専用ストラップのみを提供しており、
VIVE Ultimate TrackerやHMDなどのハードウェアの購入や技術サポートは、各地域の公式VIVEリセラーをご利用ください。
